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桜雪舞幻想世界(偽)
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なつこみ
2017-07-16 Sun 20:55

1.出会い

 夜中に、目が覚めた。湿度の高い空気に息苦しさを覚えながら体をベッドから起こす。寝起きなのに不思議と意識ははっきりとしていた。机の上のデジタル時計に目をやると、時刻は午前3時を13分回ったところの、深夜だった。

 窓を開けると一瞬だけ涼しい風が体を撫でた。誘われるようにベランダへ足を踏み出した。強烈な違和感があった。生暖かい空気を切るように視線を走らせたが、直にその正体がわかった。

 音だ。鉄のこすれるような音――電車の車輪の音が右手の方からしているのだ。ベランダから見下ろした少し先には、踏切と線路がある。だがとっくに終電は過ぎていて、だから異常なのだった。

 何両も連なる電車が目の前の踏切を果たして通った。より一層不気味なのは、黄色い明かりの漏れる車体の窓に人影は全くないことで、つまり電車は無人のようだった。

 ガタゴトという車体の立てる音は夜の静かな町にはよく響いていたのだが、自分以外の住人たちが気づく気配はなかった。どの住宅も何事もなかったかのように静まり返っている。

 まるで映画でも見ているかのようだ、と思った。見るべきなのだろうか、何かするべきなのだろうか、それとも見なかったことにして逃げるべきなのだろうか。そんな思考がまとまらないまま、電車は踏切を越えていってしまう。そして次の異常な存在を、視界に認めることになる。

 と、同時に強烈な頭痛に襲われた。踏切の向こう側に人が立っていた。街灯の微かな明かりしかないのにも関わらず明瞭に姿を捉えることができる。頭の中が内側からこねられるような痛みがする。長い金髪と紫色の服は、およそ一般的な日本人にはそぐわない容貌だった。彼女が振り向く。目が合った。瞬間、彼女が身を強張らせたように見えた。垂らしていた右手を口元にやって――一体彼女は、驚いたのだろうか? 笑ったのだろうか?

 もう立っていられない。体は揺れるのに足はすくんでいるせいで、そのままベランダの床にしりもちをついてしまった。丸い月と粒のような星を夜空に見つけた。目を細める。空に浮かぶ月と星、いや、宇宙に存在する衛星と恒星のイメージが強烈に頭に入ってきた。

 なにこれ……!?

 目測で得た情報のみから、月と地球と星の位置が頭の中で勝手にシミュレートされていく。自分の意志とは関係なく、というかそんなことも考える間もなく。

私は、自分の正確な現在位置と、正確な時刻を知り、それらの数字に全く間違いがないのだという確信を手に入れていた。のろのろと立ち上がって部屋に戻る。習慣的にデジタル時計に目が行き、その秒表示が思っていたよりもずれていたことが、この異常事態では面白おかしく感じてしまい、口元が歪み唾液がきたない音を立てながら唇を濡らしたり喉に張り付いたりした感触を最後に、私は気を失った。

 

 

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