桜雪舞幻想世界(偽)
ぼーいみーつがーる
2013-01-12 Sat 06:42
泣きながら走る男の子がいた。いつもの見慣れた土の道を思いっきり駆けて、だんだんと声と涙を抑えきれなくなってその度に惨めな気持ちになりながら走っていた。

10分ほど走ったくらいで息が上がってその場で立ち止まる。
「はぁ、はぁ……」
吐く息が白く気温が低いことを物語っていた。学校に上着を置いてきてしまったので上着はなく、寒そうだった。
息が整うと再び静かに泣き出した。涙と鼻水で顔がくしゃくしゃになったが、いつものことだった。

僕は小学校でいじめられていた。
理由はわからない。いつの間にかクラスの乱暴なやつらに狙われていて、ことあるごとにいじめられていたのだった。特に仲が良いやつもいなかったから、守ってくれる子もいない。
やつらの頭がいいのか単純に運がいいのか、先生の見ている前では何もされず先生も構ってくれない。そして、先生に告げ口をしたことがバレるとそれを口実にまたからかわれるのだった。

だから、だいたいの放課後はさっさと学校から帰ってこの山で遊んでいた。
元々外遊びは好きだったので特にきっかけはなく自然と日課になっていた。一人で探検したり木に登ったりなど飽きることはなかった。

今日は、休み時間にトイレに立った数分の内に、机の中の物が引っくり返されていた。
直すのはすぐできたが、戻ってきて驚いている僕にみんな知らん顔をしていてそっちがとても怖かった。いじめられているんだという事実に耐え切れなくなって一人で抜け出してきてしまったのだった。

こういうことは、よくあることではないが、たまにあることだと思う。抜け出すとスッキリするから、最近は回数が増えてきた気もする。


今日もいつものように山に入ろうとすると、入り口に同じような年頃の女の子がいた。
「あっ」
女の子が怯えたような表情をしている。
「どうしたの?」
久しぶりに自分から声をかけた。どこか友達になれそうな予感がしていたからだった。
「わ、私はちょっと……」
「?」
「ここ、初めてだからその……」
「入る?」
女の子が戸惑った顔をした。僕も戸惑った顔をしていたと思う。
「あ、……うん」

女の子は隣町の学校に通う子らしい。
いじめられていて学校を抜け出してきたのはいいものの、でたらめに歩いていたら知らないところに来てしまって途方にくれていたところを僕が発見して今に至る。
「僕と一緒だね」
と言うと、初めて笑ってくれ、少し仲良くなれたような気がした。

「学校から出るとこんなに楽しいんだねー」
山を歩きながら女の子は言った。
「そうなんだよ。みんなも外で遊べばっていつも思ってる」
「でも、明日はまた学校行かないといけないね」
暗い顔をする女の子を見て、強い気持ちを感じた。
「あのさ、明日学校行ってもいい?」
「え?」
「○○小学校だよね?」
「う、うん」
なぜかわからないけど、強い気持ちを感じた。

「本当に来たんだね」
校門の前で待っていると女の子がびっくりした顔してやってきた。
「おはよう。さ、案内してよ」
知らない場所で知らない人だらけですごく恥ずかしかったけど、やることは決めていたから臆病がることはなかった。

教室に連れて行ってもらい、いじめっこを教えてもらった。
「あの子……」
聞いてすぐ歩み寄る。
「なぁ?」
「あ?」
体の大きい男の子だった。声も普通の子より低い。でもこいつがいじめっこだと思うと不思議と力がわいてきた。
「あの子をいじめるのやめろよ」
女の子を指差して言う。
「は? ていうかお前だれだよ」
咄嗟に掴みかかる。教室は騒然となった。

結局その日は先生がやってきて僕は家まで送り返された。
後日また山にやってきた女の子によると先生が対処してくれたおかげでいじめはなくなってまた普通に学校に通うようになったとのこと。お礼を言われて嬉しい気持ちになれた。
僕の方も、隣の学校で暴れたやつという噂が広まっていじめられることはなくなった。
女の子にあったときのあの気持ちは、とても強くて不思議でずっと忘れないと思う。
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